
AIエージェント(Claude Code)を日常的に使っていると、セッションを開くたびに「前提」を読み込ませる仕組みを少しずつ足していきます。判断基準、過去の修正指示、プロジェクト固有のルール——こうした記憶をファイルに書き溜めるほど、AIは文脈を引き継いでくれるようになります。ところが2026年8月の終わりごろ、「セッション開始時の読み込みが多すぎないか」と気になり、太っているようなら整理しようと調べ始めました。すると、重かったのは記憶の中身ではなく、それを毎回読み込む"入口"のほうでした。この記事では、原因の特定方法と、内容整理ではなく「読み込み量の上限」で解決した経緯をまとめます。
※この記事は、2026年8月27日に実際に調査・修正した内容にもとづく一例です。環境や設定の構成は利用者によって異なるため、そのまま当てはまるものではありません。
セッション開始時に、何が読み込まれていたのか
Claude Code には、CLAUDE.md などの指示をセッションの前提として読み込む仕組みがあります。ぼくの環境では、そこに独自の記憶ファイルや自動メモの索引も組み込んでいました。今回のプロジェクトで読み込み対象にしていたのは、次のようなものです。
- プロジェクト固有の指示書(このプロジェクトの目的やルール)
- ブランドや文体の定義ファイル
- これまでに蓄積した自動メモの索引
- 全プロジェクト共通で読み込んでいる「記憶ファイル」(判断基準・修正履歴など)
調べ始めた時点での見立ては、「プロジェクト固有の指示書か、スキルの一覧が膨らんでいるのだろう」というものでした。心当たりがそこにあったからです。しかし、思い込みで対象を決めると的を外すので、まず実際の量を測ることにしました。

実際に測ってわかった3つのこと
読み込み処理が生成するテキスト量をそのまま出力して確認したところ、次のことがわかりました。
1. 毎回およそ487KBを生成していた
セッションを開くたびに、約487KB分の設定テキストを組み立てていました。日本語のテキストとしてはかなりの分量です。
2. その大半はプロジェクト固有ではなかった
487KBのうち9割近くは、このプロジェクト固有のファイルではなく、全プロジェクト共通で読み込んでいる記憶ファイル3つ分でした。プロジェクト固有の設定は合計24KBほどで、もともと十分に軽い状態でした。犯人だと思っていた場所は、実は問題ではありませんでした。
3. 生成した大半は「届いていなかった」
さらに調べると、読み込んだ内容の大部分は、途中で読み込みの上限に引っかかって切り捨てられ、AIには先頭の一部しか渡っていませんでした。毎回大量のテキストを組み立てては、その大半を捨てていたことになります。手間をかけているのに知識は届かない、という一番もったいない形です。
対処:内容整理ではなく「読み込み量の上限」
ここでの判断が、今回いちばん伝えたい部分です。対処として選んだのは、記憶ファイルの中身をきれいに整理することではなく、読み込む量そのものに上限を設けることでした。
具体的にやったこと
共通の記憶ファイルは3つあり、そのうち容量の大きい2つについて、「各ファイルの先頭30KBだけを読み込み、それ以降は省略する」という区切りを機械的に入れました。省略した場合は、続きがあることを末尾に表示します。プロジェクト固有の指示書は軽いので上限の対象外にしました。
結果
この変更で、当時の構成では全体が約487KB→約71KBになりました。対象の2ファイルがこの先さらに大きくなっても、この2ファイルから読み込む量は合計で最大60KBに収まります。「際限なく増える」部分に蓋をした形です。
手作業の棚卸しでは止まらなかった
補足として、この1ヶ月で記憶ファイルの手作業の棚卸しを3回実施していました。重複エントリの統合、古い記録の退避——地道な整理です。それでも、次のセッションで測るとまた膨らんでいる、という繰り返しでした。
内容整理は「読みやすさ」には効きますが、「毎回の読み込み量」には直接効きません。ファイルが増えれば読み込みも増える構造は変わらないからです。だから最終的に、判断や記憶力に頼るのをやめて、仕組みのほうで上限を決めました。
よくある質問(FAQ)
Q. 上限で切り捨てたら、必要な情報が読まれなくなりませんか?
A. 上限は「毎回自動で読み込む量」に対するもので、情報を消すわけではありません。切り詰めた末尾に参照方法の注記を残しているため、必要な場面ではその都度読み込めます。むしろ、上限導入前は大半が切り捨てられて届いていなかったので、優先度の高い先頭部分が確実に渡る分、状況は改善しています。
Q. どのくらいの量になったら見直すべきですか?
A. 絶対的な目安より、「セッションを開くたびに生成している量」を一度実測してみることをおすすめします。思っていたより大きい、あるいは思っていた場所と違う、という気づきが得られます。
Q. 内容の整理はもう不要ということですか?
A. 不要ではありません。読みやすさや重複解消のためには有効です。ただし「毎回の読み込みを軽くする」目的には直接効かないため、目的を分けて考えるのがよい、という整理です。
まとめ
AIエージェントに記憶を持たせる仕組みは、記憶そのものだけでなく、それを毎回読み込む"入口"も気づかないうちに太ります。今回は、セッション開始時に約487KBを生成していたこと、その9割近くが共通の記憶ファイルだったこと、しかも大半は上限で切り捨てられ届いていなかったこと、が実測でわかりました。対処は内容整理ではなく読み込み量への上限で、結果として約71KBに固定できました。記憶の仕組みを育てている方は、ときどき「読み込む側」の量も測ってみると、思わぬ肥大に気づけます。
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