
AIエージェント(Codex や Claude Code など)にコードレビューやリファクタリングを任せていると、実行のたびに消費するトークンの量が気になってきます。私の場合、あるレビューを1回まわしただけで約25万トークンを使った実行がありました。調べてみると、原因は使っているモデルではなく、エージェントが「作業と関係のないフォルダまで読みに行っていた」ことでした。この記事では、リポジトリ直下にルールファイルを1枚置いて読み込み範囲を絞ったことで、同じ作業のトークン消費が約1.4万まで下がった経緯と、その考え方をまとめます。数値は私の環境での実測なので、ひとつの事例として読んでください。
モデルの比較をしていたら、コストの原因は別にあった
私はKindle出版やWebサイトの作業で、コードのレビューをAIエージェントに任せています。あるとき、使うモデルを新しいものに切り替えるかどうかを判断するために、同じレビュー作業を複数回まわして比較していました。
その中で、1回のレビューが約25万トークンに達した実行がありました。レビュー対象のコードの分量からすると、明らかに多すぎます。実行ログを見返すと、エージェントは指示したファイルだけでなく、その周辺のフォルダを検索と読み込みで次々にたどっていました。トークンの大半は、このレビューと直接関係のない読み込みで消費されていたのです。
さらに問題だったのは、読みに行っていたフォルダの中に、今回のレビューとはまったく別の作業のファイルが含まれていたことです。コストの面だけでなく、意図しないファイルをエージェントに読ませてしまうのは、情報の取り扱いとしても避けたい状態でした。

リポジトリ直下にルールファイルを1枚置く
対処はシンプルでした。作業対象のリポジトリの一番上(ルート)に、AIエージェント向けのルールファイルを1つ追加しただけです。書いた内容も数行で済みます。
エージェント向けルールファイルとは
Codex では `AGENTS.md`、Claude Code では `CLAUDE.md` などのファイルを作業ディレクトリの直下に置いておくと、起動時の指示として参照されます。プロジェクト固有の前提や進め方を、エージェントに毎回伝えるための仕組みです。ここに「読み込みの範囲」を明記しておくと、それ以降の探索の広がり方が変わります。
ただし、これらは指示として参照されるものなので、ファイルを置くだけでアクセスを技術的に禁止できるわけではありません。厳密に分けたい場合は、ツール側の権限設定や、作業ディレクトリそのものの分離も併用します。
書いた内容
私が追加したのは、次のような指示です。
- 指示した範囲の外は、確認なしで探索しない
- 周辺のフォルダを自動的にたどらない
- 別プロジェクトのフォルダには立ち入らない
数行の指示ですが、これだけでエージェントの挙動は変わりました。
同じ作業をやり直した結果
このルールファイルを置いた状態で、まったく同じレビューを再実行しました。消費トークンは約1.4万まで下がり、私の環境では9割以上(約94%)の削減になりました。指摘された問題の件数と指摘内容を突き合わせて確認しましたが、その範囲ではルールファイルを置く前とほぼ同じでした。読み込む範囲を絞っても、レビューそのものの質は落ちなかったということです。
モデルを変えるより、読み込み範囲を決めるほうが効いた
その後、モデル自体も新しいものに入れ替えて比較を続けました。品質は用途によって差が出ましたが、トークン消費の量については、ルールファイルを置いたときほど大きくは変わりませんでした。
私の環境では、モデル変更より先に読み込み範囲を見直すことで、トークン消費が大きく減りました。モデル選びは出力の品質に関わる重要な要素ですが、コストを下げたいのであれば、まず読み込み範囲を制御するほうが効果が見えやすいと感じています。
副次的な効果として、関係のないフォルダを読み込まなくなったため、別の作業のファイルにエージェントが触れることもなくなりました。複数の案件を1台のマシンで扱っている場合、この点は地味に重要です。
よくある質問(FAQ)
Q. ルールファイルを置くと、必要なファイルまで読まれなくなりませんか?
A. 「指示したファイルは読む」「その周辺を自動でたどらない」と書き分けておけば、レビュー対象そのものは通常どおり読み込まれます。私のケースでも、指摘の精度は落ちませんでした。関連ファイルを見てほしいときは、その都度パスを指示に含めれば対応できます。
Q. モデルの新旧はコストに影響しないのですか?
A. まったく影響しないわけではありません。ただし私が比較した範囲では、読み込み範囲を絞ることによる差のほうがずっと大きく出ました。モデルは品質、読み込み範囲はコスト、と切り分けて考えると判断しやすいです。
Q. Claude Code でも同じ考え方が使えますか?
A. 使えます。`CLAUDE.md` に読み込み範囲や探索の方針を書いておくやり方は同じです。ファイル名と細かい記法が違うだけで、「エージェントに読む範囲を先に伝える」という考え方は共通です。
まとめ
AIエージェントにコードレビューを任せてトークン消費が大きいと感じたら、モデルを疑う前に実行ログで「どのファイルを読んでいるか」を確認してみてください。私の場合は、作業と無関係なフォルダの読み込みが原因でした。リポジトリ直下にルールファイルを1枚置いて読み込み範囲を絞るだけで、同じ作業のコストが大きく下がり、意図しないファイルを読ませてしまうリスクも減らせます。まずは数行のルールから試してみるのがおすすめです。
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