Kindle出版の図解を作り直した理由|AI画像生成のクセと確認方法

Kindle本の図解づくりでAI画像生成ツールを使うと、便利な反面「思っていたのと違う情報」が描き込まれてしまうことがあります。この記事では、実際に本の図解32枚を作り直す過程で遭遇した具体的な失敗例と、その対策として行った検収プロセスを紹介します。

節の図解32枚を、出版後に全面リニューアルした背景

新刊『AIエージェントにまかせるKindle出版』には、各章の節ごとに図解を入れています。最初に出版した際の図解は雰囲気こそ伝わるものの、情報量が薄い「イメージ図」止まりでした。「これで読者に実際のノウハウが伝わりきるだろうか」という懸念がありました。

そこで、出版後にあらためて情報量を大幅に増やす「情報図解」スタイルへ、32枚すべてを全面リニューアルし、修正版として再出版することにしました。通常は「執筆→図解→表紙→出版」と一方向に進む制作フローを、今回は出版後に逆流させて作り直した形です。単なる見た目の修正ではなく、「読者に伝わる図解とは何か」という編集判断からやり直す作業でした。表紙も同じタイミングで差し替えました。最初の表紙は読者へのインパクトに欠けるデザインだったため、パッと見で読者を引きつけるデザインに作り変えています。

本と歯車のアイコンが並び、片方に赤いチェックマーク・もう片方に警告マークがついたシンプルな図解。AI生成物の検収イメージ

AI画像生成が指示にない情報を補完した具体例

原稿の最終ファイル形式が誤って描かれていた

32枚を見直す過程で気づいたのが、AI画像生成の地味に怖いクセです。プロンプトに書いていない部分を、AIが「それっぽく」補完してしまうことがあります。

たとえば、原稿の最終ファイル形式は本来Word(DOCX)です。しかし図解の中には、これを「PDF」と描いてしまっているものがありました。プロンプトでファイル形式を具体的に指定していなかったため、AIが文脈から"もっともらしい"形式を推測して描いてしまったと考えられます。

実在しない同梱物が描き込まれていた

もうひとつの実例が、読者プレゼントの同梱物です。図解の中に、実際には存在しない「表紙テンプレート」や「チェックリストPDF」まで描き込まれていました。

これもプロンプトで指示した内容ではありません。「読者プレゼントの図解」という文脈から、AIが「こういう場面ならこういう資料が同梱されていそうだ」と補完してしまったのだと思います。

どちらの例も、パッと見ただけでは違和感に気づけないレベルで自然に描かれています。もし気づかないまま出版していたら、事実と異なる情報を読者に見せてしまうところでした。

対策:32枚全部を人間が拡大チェック

この失敗に気づいてからは、生成した図解を1枚ずつ拡大して人間の目で確認する検収工程を必ず挟むようにしました。

32枚すべてを拡大確認込みでチェックした結果、次の問題が見つかりました。

  • 文字のかすれ:1件
  • 内容の相違(今回のような補完も含む):4件

「AIが生成できたら完成」ではなく、「AIが生成したからこそ検収が要る」という前提に切り替えたことで、事実誤認を出版前に防ぐことができました。

地味な落とし穴:プロンプト入力欄の文字数制限

もうひとつ、実務的に困った点も正直に書いておきます。普段はChatGPTの画像生成を課金して使っているのですが、作業の途中で1週間分の利用上限に達してしまい、しばらく生成がストップしてしまいました。やむを得ず、Adobe Fireflyで代わりに生成するという荒技に切り替えたのですが、今度はFireflyのプロンプト入力欄が1024文字までしか入らず、詳細に指示を書いていたつもりのプロンプトが途中で切れてしまっていたことがありました。

生成AIツールにはそれぞれ、こうした地味な仕様上の制約があります。「思った通りに生成されない」ときは、プロンプトの内容だけでなく、そもそも指示が最後まで届いているかどうかも確認したほうがよいと学びました。

1枚の画像を4往復した実例

特に手こずった1枚は、検収→指摘→再生成を4回繰り返しました。「なんとなくしっくりこない」という最初の主観的な違和感を、「タイトルバナーの要素が欠けている」「ラベルが重複している」といった具体的な原因に翻訳し直しては再生成を依頼する、という作業です。

検収→指摘→再生成のサイクルを矢印でつないだシンプルなフローチャート。4往復したことを示す番号付きの円

よくある質問(FAQ)

Q. AI画像生成はKindle出版の図解に使うべきではない?

A. そういうわけではありません。ゼロから手描きするより着手のハードルは大きく下がります。ただし、生成物をそのまま採用せず、必ず人間の検収工程を挟む前提が必要だと感じています。

Q. 補完されてしまう問題を防ぐプロンプトの書き方はありますか?

A. 完全には防げませんが、ファイル形式や固有名詞など事実に紐づく要素は、プロンプト内で明示的に指定するほど誤描写は減りました。それでも今回のように見落とすケースがあるため、検収工程自体は省略できないと考えています。

Q. どのくらいの頻度でこうした相違が見つかりますか?

A. 今回は32枚中4件でした。件数としては多くありませんが、事実と異なる情報が読者に届くリスクを考えると、無視できない割合だと感じています。

まとめ

Kindle本の図解づくりでAI画像生成を使う際、プロンプトに書いていない情報を"それっぽく"補完してしまう問題に実際に遭遇しました。原稿のファイル形式の誤描写や、実在しない同梱物の描写がその実例です。対策として、生成物を1枚ずつ拡大確認する検収工程を設けたところ、32枚中4件の相違点が見つかりました。「AIが生成できたら完成」ではなく「AIが生成したからこそ検収が要る」という前提で臨むことが、事実誤認を防ぐ鍵だと感じています。

Amazonで見る →

Xでフォローしよう

おすすめの記事