AIの第二の脳を棚卸しして見つけた運用の盲点

AIエージェントの指示や失敗をObsidianに記録していても、書き溜めるだけでは同じ問題が繰り返されることがあります。私が「第二の脳」として使っているナレッジベースにも、月次で重複を整理するルールがありました。しかし、実際には一度も実行されていませんでした。この記事では、初回の棚卸しで同じ論点の指摘が9件見つかった経緯と、ルールを継続して動かすために見直したポイントを紹介します。

「ルールを書く」と「ルールが動く」は別物だった

前回の記事では、毎回のセッションで必ず読ませる指示書(CLAUDE.md)が403行まで肥大化し、詳細手順を「スキル」という別ファイルへ分離して176行まで圧縮した実例を紹介しました。

指示書とは別に、AIエージェントには修正指示や過去の失敗を蓄積していくファイル(corrections.md)を持たせています。オーナーから指摘を受けた内容を記録し、同じ指摘を二度させないための場所です。

このファイルの運用ルールの説明文の中に、以前から「月に一度、重複・解決済みの内容を整理する」という一文がありました。ただし、これは独立したルールファイルになっているわけでも、実行のタイミングが決まっているわけでもなく、単なる説明文の一部として埋もれていました。

ルールの説明文の中に、実行されないまま埋もれた一文があることを示す、シンプルな図解

発覚のきっかけ

「週次でやっているチェックと同じように、月次の整理もルール化していたはずだ」という確認をしたタイミングで、この月次の整理ルールがこれまで一度も実行されていないことが判明しました。

原因を振り返ると、ルールを書いた時点で「仕組み化した」という感覚になってしまい、実際にいつ・どう実行するかまでは詰めていなかったことにあります。ルールを明文化すること自体が目的化してしまい、実行の仕組みまで手が回っていなかったというのが実態でした。

なぜ気づかないまま放置されていたのか

  • 週次のチェック(別の観点の点検)は既に実行していたため、「点検の仕組みはある」という安心感があった
  • 月次のルールは説明文の中の一文でしかなく、独立した存在として意識されにくかった
  • 実行してもしなくても、日々の作業自体は問題なく回っていたため、抜けに気づく機会がなかった

実際に動かしてみたら見つかったもの

その場で専用のルールファイルを新設し、指示書側にも明記した上で、初めて月次棚卸しを実行しました。

対象期間の修正指示ファイルを見返した結果、「オーナーへの確認内容をAI側のメモに書いたつもりが、肝心の第二の脳への反映を忘れる」という、根っこが同じ指摘が、表現を変えながらこのファイルだけで9件記録されていることが判明しました。同じ論点の再発ログを別のファイルにも残していたため、それも合わせるとさらに数は増えます。

日付順に並んだ複数の記録カードのうち、実は同じ論点を指すものが色分けでまとまっていく様子を示す図解

一件ずつ見ているときは別々の出来事に見えていたのですが、日付順に並べて見返すと「結局ずっと同じ話を繰り返し記録していた」ことが一目で分かりました。渦中にいる間は「今回は状況が少し違うから」と別の問題として扱ってしまいがちですが、後からまとめて俯瞰すると、根本原因が1つに収束していることがよく分かる出来事でした。

なお、この「記録を忘れる」という問題自体は、別の仕組み(セッション終了時に機械的にチェックする仕組み)で既に解決済みです。今回の話は、その解決に至るまでにどれだけ同じ指摘を溜め込んでいたか、という後日談にあたります。

実際にやったこと

1. 修正指示ファイルを対象期間ぶん通読し、同じ論点を指す指摘をグルーピングする

2. グルーピングした指摘のうち、既に解決済みのものには「解決済み」の印を付けて要約する

3. 統合案(何件を何件にまとめるか)を整理して提示し、実際の書き換えは確認を得てから行う

4. 同時に、他の記録ファイルにも同じ論点の重複がないか横展開で確認する

5. 今後は「月に一度」という頻度をスケジュールタスクとして登録し、思い出す・気づくに頼らない実行の仕組みに変える

結果と教訓

今回の棚卸しで、同じ論点の指摘をまとめて要約し、大幅に整理することができました。件数そのものより大事だったのは、「ルールを書くことと、ルールが実際に機能することは別物だ」という気づきです。

記録を残すこと自体は良い習慣ですが、定期的に整理する仕組みがセットになっていないと、同じ内容が形を変えて積み上がっていくだけのファイルになってしまいます。実行のタイミング・トリガーまで決めて初めて、ルールは意味を持つのだと実感しました。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ最初からスケジュールタスク化しなかったのですか?

A. ルールを書いた時点では「明文化すれば自然に実行されるはず」という思い込みがありました。実際には実行のトリガーがないと動かないことに、今回初めて気づきました。

Q. 同じ指摘が何件も記録されていたのは問題ではないのですか?

A. 記録自体は「同じ失敗を繰り返さないため」に必要なものです。問題は、記録が増えた後に整理する工程が抜けていたことにあります。

Q. 今後も同じことは起きませんか?

A. 次回の記事で紹介する予定ですが、週次・月次のチェックを「思い出してやる」運用から、スケジュールタスクとして自動的に実行される仕組みに切り替えました。

まとめ

AIエージェントに「第二の脳」を持たせて記録を蓄積していく運用は便利な一方、定期的に整理する仕組みまでセットで作らないと、同じ論点の指摘が形を変えて積み上がっていきます。今回は、月次の整理ルールを書いていたのに一度も実行していなかったことに気づき、初めて動かしてみたところ、同じ論点の指摘が1つのファイルだけで9件溜まっていました。「ルールを作る」ことと「ルールを実行する」ことをセットで設計する、という考え方は、AIエージェントの運用を見直すうえで参考になるはずです。

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