AIとの壁打ちは『反論』を引き出すと判断に使える

AIに企画やアイデアを相談して、「いいですね」「理にかなっていますね」と返ってきて安心したことはないでしょうか。私も先日、次に取り組もうとしている新しい企画をAIに相談して、まさにその状態になりかけました。そこで聞き方を変え、「この企画がうまくいかない理由を、厳しめに5つ出して」と反論を出してもらうことにしました。この記事では、なぜAIの同意をそのまま安心材料にしなかったのか、反論を引き出す聞き方のポイント、出てきた反論をどう扱ったかを、実例をもとにまとめます。

以前、自分の下書きを別のAIにレビューさせている理由を書きましたが(Claude Codeの下書きをCodexでレビューする理由)、今回は文章ではなく「企画の判断」でAIをどう使うか、という話です。

AIに企画を相談したら「理にかなっている」と返ってきた

新しい企画の構想をひととおり説明して、「この方向性はどう思う?」と聞きました。企画の中身はまだ公開できないのですが、返ってきた答えは、ざっくり言うと「理にかなっている」でした。

それなら大きく外してはいないだろう。一瞬、そう思いました。

AIの「同意」を安心材料にしなかった理由

説明の熱量に合わせた答えが返ってきやすい

AIはこちらの話に沿って答えてくれる傾向があると感じています。構想を熱心に説明すればするほど、その熱量に合わせた前向きな返事が返ってきやすい、というのが使っていての実感です。

別のAIに見せても、完全に独立した検証とは限らない

私は普段から、書いた文章を別のAIにレビューさせています。1つのAIの「OK」だけで済ませないためです。ただ、同じ文章・同じ説明を渡している以上、別のAIでも似た観点の答えが返る可能性はあります。レビューとしては役立ちますが、それだけで読者の反応まで確かめられたとは言えません。

論理の穴がないかのチェックにはなっても、「うまくいく」ことの保証にはならない。そう整理して、聞き方を変えることにしました。

反論を引き出す聞き方:「うまくいかない理由を、厳しめに5つ」

実際に頼み直した一文はこれです。

「この企画がうまくいかない理由を、厳しめに5つ出してください」

この一文で意識したポイントは3つです。

  • 方向を指定する:「どう思う?」ではなく「うまくいかない理由」と、反論の方向に振り切って聞く
  • 数を指定する:「5つ」と決めると、1つ2つで止まらず、弱いところまで掘ってもらいやすい
  • 厳しさを指定する:「厳しめに」と添えると、遠慮した言い方が減る

返ってきた5つは、どれもそれなりに耳の痛いものでした。一部を一般化して挙げると、次のような内容です。

  • これまでと違って検索で探されるタイプのものではないので、見つけてもらいにくい
  • 反応を見る前に、手間のかかる工程に先に賭けている
  • 今まで自分が使ってきた得意な型が、この分野ではほとんど効かないかもしれない

出てきた反論は3種類に分けて扱う

5つの反論を1つずつ読んでいくと、自分の反応が3種類に分かれることに気づきました。

5つの反論カードを3つの箱に振り分ける図。振り分けは必ず「すぐ対策を考えるもの」に1枚、「前提を言葉にしたら消えるもの」に1枚、「まだ答えを持っていないもの」に3枚(1・1・3)。左に反論カード5枚、右に3つの箱。日本語ラベル、ゴシック体、落ち着いたブランドカラー

1. すぐ対策を考えるべきもの

「見つけてもらいにくい」という指摘は、読んで素直に納得しました。これは対策が要るものです。形になる前の段階から、noteなどで少しずつ発信して反応を見ながら進める、という方向で考え始めています。

2. 自分の前提を言葉にしたら消えたもの

「反応を見る前に手間のかかる工程に賭けている」という指摘は、実は自分の中ですでに割り切っていた部分でした。今回の企画では、手間やコストより「作ること自体」を優先すると決めていたからです。

ただ、その前提をはっきり言葉にしたのは、この反論を受けたときが初めてでした。反論には、自分でも言語化していなかった前提を確認させてくれる役割もあります。

3. まだ答えを持っていないもの

残りの反論には、正直なところ、まだ答えを持っていません。無理に結論を出さず、メモとして残し、企画が進んだ段階で見返すことにしました。

すべてに答えが出たわけではありませんが、「何を考えればいいか」がリストになっているだけで、次の一手が決めやすくなりました。

AIの反論は「論理の穴探し」、読者の反応は人から取る

反論を引き出す使い方には、線引きもしておきたいと思っています。

AIの反論は、あくまで論理の穴を探す道具です。実際に読んでくれる人や使ってくれる人がどう感じるかは、AIには分かりません。読者の反応そのものは、ThreadsやnoteでのリアクションやKindle本の読まれ方、身近な人の感想など、実際の人から取るつもりです。

AIで論理の穴を埋め、人の反応で方向を確かめる。この役割分担で進めるのが、今のところしっくりきています。

よくある質問(FAQ)

Q. AIに反論させると、落ち込んだりやる気がなくなったりしませんか?

A. 読んでいて楽しいものではありません。ただ、反論は「やめた方がいい理由」ではなく「次に考えることのリスト」として読むと、受け止めやすくなりました。3種類に分けて扱うのも、そのための工夫です。

Q. 反論の数は5つでないといけませんか?

A. 決まりはありません。私の場合、1〜2つだと当たり障りのない指摘で止まりやすく、多すぎると似た内容が混ざるため、5つくらいがちょうどよいと感じています。

Q. 複数のAIに聞けば、それぞれ別の視点になりませんか?

A. 違う観点が出ることはあります。ただ、同じ説明を渡している以上、独立した検証とまでは言い切れないと考えています。複数のAIを使う場合も、同意を集めるより、それぞれに反論を出してもらう方が判断の材料になりやすいと思います。

まとめ

  • AIの「理にかなっている」は、論理チェックにはなっても成功の保証にはならない
  • AIは説明の熱量に沿って答えがちなので、同意だけでは判断材料として弱い
  • 「うまくいかない理由を、厳しめに5つ」と、方向・数・厳しさを指定して反論を出してもらう
  • 出てきた反論は「対策が要る/前提を言えば消える/まだ答えがない」に分けて扱う
  • 読者の反応は、AIではなく実際の人から取る

同意は「そうだよね」で終わりますが、反論は次に考えることを残してくれます。AIと企画を詰めるときは、一度この聞き方を試してみてください。

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